国道191号線・虫木峠



 <現在の道>
 国道191号線は、山口県下関市を起点とし、日本海沿岸を通って、島根県益田市から中国山地を越え、広島県へ入ってからは、山県郡安芸太田町を経て広島市へと至る。安芸太田町松原で県道旭戸河内線との交差点を過ぎ、戸河内方面へ向かう途中に、虫木峠がある。現在、虫木峠の下を貫く虫木トンネルの銘板によると、トンネルは昭和61年10月に竣工、延長255m。



 ホワイトバレー松原というスキー場の入口の前を過ぎ、虫木トンネルの手前を右へ分かれる道が、虫木峠の旧道。旧道の区間は未改良の一車線幅の道となっている。



 旧道から林道松原線が左へと分かれた先、両側に続く杉の木立の中にまっすぐと続く坂道を登ると、ほどなく虫木峠の頂上に着く。



 虫木峠の頂上から先は、峠の南側の板ヶ谷という集落へと向けて下っていく。路側には落ち葉や折れた木の枝が堆積しており、その上に雑草が生えている。また、道路左側のガードレールは、生い茂る熊笹に埋もれつつある。山側には、河原の石だろうか、角のない丸っこい玉石を積んだ石積みが続いている。



 旧道右手の沢からの水が溢れてアスファルトの路面の上を流れており、道路の右側半分くらいは崩れてきた法面からの土や石によって、埋まっている。



 石積みが続いた道幅1車線あまりの未改良の区間から、上下一車線の道幅がある改良済の区間へと出る。道路右側の山を削った切り立った法面には、モルタル吹付や落石防止のネットが施されている。




 サーキットを思わせるようなヘアピンカーブで進行方向を180゜逆に変えた先には、直線の下り坂が続いているが、ここも道路の半分近くが雑草に侵食されている。旧道から振り返って南へと続く板ヶ谷川の谷を見ると、登坂車線の整備された現国道と、その下を通っている旧道、そして川の谷筋に点在する民家が何軒か見える。



 現道へと下りる手前で、それまで続いていた緩やかな下りの坂道から、突然急な坂道となる。その坂道を下りて現道へ出たところで振り返って見ると、坂道の山側法面の上に古い擁壁と石積みが残っており、法面の上に上がって見たところ、古いアスファルト舗装もわずかながら残っている。これは、バイパス建設前の虫木峠の旧道にあった4つのヘアピンカーブのうち、バイパス工事の際に削り取られて姿を消した3つのカーブへと続いていた旧道が一部残っているもの。現在は、先ほど通ったヘアピンカーブ1つが残るのみとなっている。



 現道に合流したのもつかの間、橋の手前で左手へとUターンするような形で分かれる道へと入り、急な下り坂を下っていく。



 バイパスの下に残る旧道への取り付けとなる坂道を下りたところを右へと曲がる。その先の区間は、道路右側の雑草が茂って半車線ほどの幅までせり出してきているものの、二車線の幅があったことが確認できる。また、左手の杉林の中には、改良前の旧々道ではないかと思われる一車線幅の道と、水雲橋という名前の古びた橋が残っている。



 道路左手の谷あいに点在する板ヶ谷の集落の家々を見ながら、現道の井桁ブロック、間知ブロック積の下を進んでいくと、ほどなく現道へ合流する。虫木峠の旧道が大きく残っているのはここまでで、この先は戸河内へと向けて続く国道沿いのところどころに、旧道が部分的に残っている。


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