一般県道溝口加計線・芸北〜豊平


 県道溝口加計線は、山県郡北広島町溝口で県道安佐豊平芸北線から分かれ、丁川(ようろがわ)の渓谷に沿って下り、北広島町戸谷で国道433号線に合流する県道。以後、安芸太田町加計までは国道433号線と重複しているので、安芸太田町内には県道溝口加計線の単独区間はない。




 丁川沿いの盆地に田畑と民家が点在する北広島町溝口の集落を南下していく。県道をまたぐ芸北広域農道の溝口大橋の下をくぐると、ほどなく集落最後の民家があり、その先で改良済みの区間は終わる。



 両側から山が迫ってきて、幅の狭くなった丁川沿いの谷の右岸を進んでいく。途中、中国電力が設置した王泊ダムへと水を送る取水堰の横を通り過ぎる。その先、右手からの合流してくる沢があるところが旧芸北町と旧豊平町の町境だったが、現在はそれを示すものはない。



 電柱以外にはほとんど人工物がない、植林された杉林、あるいは雑木林の中に県道は続いている。



 丁川に佐久橋という名前の橋が架かっており、この橋を渡っていったん県道は丁川の左岸へと移る。そして、木地屋橋という橋を渡って再び丁川の右岸へと戻る。



 川沿いの切り立った山裾を削って道路を作ったのか、山側の法面にはところどころに岩が露出しており、落石防止網が張られている箇所もある。やがて、この先150m制限高さ3.8mの規制標識が姿を現す。



 規制標識の先へと進んでいくと、溝口隧道という名前のトンネルがある。トンネルの坑口はコンクリートで巻き立ててあるが、トンネルの中はモルタル吹付が施してあるだけで、ゴツゴツした岩を掘り抜いた跡が分かる。



 トンネルに入るまで道路沿いにあった電柱は、トンネル照明のための電柱だったようで、トンネルから先には電柱の姿もなく、いよいよ寂しい山の中を走るという感じが増してくる。しばらくは、丁川よりもやや高い斜面の途中につけられた道を進む。



 県道沿いには壊れかけた小屋も見られるが、林業作業のためのものだろうか。進んでいくにつれて、丁川の川面との距離も縮まっていき、次第に聞こえてくる川の水音が大きくなってくる。




 再び川面近くへ下りてきたところで、木々の間から丁川に架けられた橋がちらりと見える。右へとカーブした先で、左手から未舗装の道が合流してくる。未舗装の道へと入ると平場があり、「中国電力社有林鶉木造林地」との看板が建っている。さらにその奥には先ほど見えた橋があるが、橋を渡った対岸の道はチェーンで封鎖されている。県道右手の杉林の中には廃屋の屋根が見えるので、ここにも昔は林業用の作業小屋か何かがあったのだろう。




 県道は相変わらず一車線幅の狭い道が続いているが、いったん川のほうへ目を転じると、美しい渓谷が見られる。丁川沿いにはシャクナゲの自生地もあるそうだ。




 人の気配の感じられない川沿いの道からようやく抜けて、右手に民家が現れる。丁川を渡った先、前方に国道433号線の道路改良で作られたテールアルメの高い壁が左手に見えてくる。左へと町道が分かれていき、テールアルメの壁の下を急な坂道で国道のほうへと登っていく。




 町道との交差点の先、左手に切り立った法面を見ながら進んでいくと、右手に木造二階建ての建物がある。この建物は、昭和46年に廃校となった豊平町立酒森小学校の校舎で、現在は共盛集会所として利用されている。



 右へと分かれる町道との交差点を過ぎると、この先で合流する国道433号線へと向けて、山の斜面に取り付けられた急な坂道を登っていく。




 国道433号線と県道溝口加計線の交差点付近は改良工事半ばの状態で、もともと道路があったところから右へと付け替えられている。途中まで作られたテールアルメの横を進んでいき、左へカーブしたところで直角に国道へと合流する形となっている。
 ここには塩明口という名前のバス停があり、加計・豊平から来るバスの折り返し場となっている。国道に出たとは言っても、この先加計へ向けては、酒森バス停付近まで未改良の道が続いている。


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