一般県道恐羅漢公園線・戸河内〜横川

 県道恐羅漢公園線は、恐羅漢スキー場のある恐羅漢山のふもと、横川(よこごう)から、内黒峠を越えて、安芸太田町の役場がある太田川の川筋に位置する戸河内へと至る県道。




 安芸太田町役場の前を過ぎると、前方左手に柴木(しわぎ)川に架かる明神橋という名前の白いコンクリート製のアーチ橋(左の写真)が見えてくる。
 国道191号線の交差点を左折してこの橋を渡ってすぐ、製材所の前の交差点からが県道恐羅漢公園線。ここから内黒峠へと登る区間は、ロードヒーティングが施されており、路面に積もった雪を融かせるようになっている。



 製材所の横を過ぎると、いきなり山際にへばりつくように取り付けられた急な坂道となっており、この坂道を登っていくと、柴木川の支流の野為川が右手に現れ、川に沿って進んでいく。


 直壁のように切り立った岩には、落石防止のためのネットがかけられている。また、野為川にはところどころに大きな転石も見られる。



 県道沿いのところどころに左の写真のような、煙突の付いたプレハブの小屋が建っている。これがロードヒーティングの機械室で、路面上の二本のわだちのように見えるところに、ロードヒーティングのパイプが入っている。


 小屋床橋を渡った先には、県道沿いに小屋床の滝という名前の滝があり、轟々と音を立てて水が流れ落ちている。



 逆S字を描く形の連続したカーブを通り過ぎる箇所ではいったん川沿いから離れるものの、再び水の音が近づいてきて、川沿いを進むようになる。


 対岸の山から道が下りてきて、川を渡る橋のたもとで県道へ合流している。この道は、旧三段峡駅付近から一山越えてきた林道柴木線である。



 切り立った山の斜面と、びっしりと植えられた杉林に挟まれた中に県道は続いている。



 道路左下の谷を埋めている工事現場の先では、いったん道幅が広がり、離合可能な道幅となっているが、ほどなく元の1車線幅に戻る。



 県道は山の尾根近くまで登ってきており、山側の斜面もなだらかになってきている。そして、内黒峠の頂上を挟んだ区間は改良済みとなっており、ほっと一息つけところである。


 改良された片側1車線の道を登りつめたところが内黒峠の頂上。 標高は990mで、標高290mほどの明神橋のたもとから、実に700mも登ってきたことになる。
 ここには、中国地方の山々の登山書を残し、また西中国山地国定公園の指定にも尽力したた加藤武三氏の詩が刻まれた石碑や避難小屋があるほか、十方山などへの登山道が分かれており、また中国山地の山並みを見ることが出来る。





 内黒峠の北側、横川へと向けて下り始めると、正面に恐羅漢山が見えてくる。そして、前方に大きな送電線の鉄塔が現れると、ほどなく改良済みの区間は終わり、再び狭い山道となる。



 道路の山側、谷側とも切り立った斜面が続く中に道がつけられているが、ガードレールはほとんどなく、ここから落ちればひとたまりもなさそうである。ところどころ沢に集まった山水が小さな滝のようになって流れ落ちてきている。



 下りの途中で部分的に1.5車線幅の道路改良がなされている箇所があるものの、延長は短いのですぐに通り抜けてしまう。



 センターラインの入った片側1車線の道幅に改良されている箇所は、切り通しや盛土によって、大きくカーブしていた旧道をショートカットする形で新しく道が作られている。しかし、数百mでその区間も終わり、もとの未改良の道に戻る。



 熊笹と雑木が生い茂る斜面の中の道を下っていくと、前方の山の斜面に見えていた恐羅漢スキー場のゲレンデも見えなくなる。



 横川川のほとりに出てきて、「ようこそ恐羅漢スキー場へ」と書かれた除雪機械の車庫が目に入る。そして、恐羅漢橋を渡ったところで県道の区間は終わり、恐羅漢山のふもとの横川の集落に到着する。
 かつては林業に従事する人なども生活しており、横川に小学校や中学校の分校もあったそうだが、分校は30年以上前に統合され、今ではスキー場の近くで民宿を営む人たちがわずかに残っているだけの寂しい集落となっている。



 県道に接続している道は林道で、左折方向は細見谷を通って吉和へと続く、十方山林道。また、恐羅漢スキー場や牛小屋高原キャンプ場への道もこの先で分かれている。右折方向の立派な道は大規模林道で、長い間工事のため通行止となっていたが、横川トンネル(左の写真)を含めて全線完成しており、餅ノ木を通って国道191号線まで続いている。(なお、計画では横川から吉和へ向けても大規模林道が造られることになっている。)大規模林道は改良されているので、広島方面から恐羅漢へ行くには距離は遠いものの、運転ははるかに楽である。
 なお、途中、大規模林道沿いに魚切滝という名前の滝があり、道路から滝の姿を見ることができる。


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