国道488号線・もみのき森林公園〜湯来


 国道488号線は、廿日市市吉和のもみのき森林公園から、広島市佐伯区湯来町の間も未改良区間が続いている。この区間は、水内川の渓谷・東山渓谷(湯来町側では加下峡という名前でも呼ばれている)に沿って、細い山道が延々と続く。



 もみのき森林公園の入り口を過ぎ、「これより東山渓谷」という案内標識や、そのほか道路情報を記した標識類の先で、それまでの改良済みの道路は終わり、一車線の幅の道となる。ちなみに、そこを右手へと伸びているのが、工事中の東山バイパスだが、侵入防止のためにゲートが設けられており、奥へと立ち入ることは出来ない。(右の写真)



 水内川の源流の小川に架かる短い橋を渡り、一車線の未改良区間へと入っていく。始めは進行方向右手の木々の間から、工事中の東山バイパスも垣間見えるが、いつしかそれも見えなくなる。部分的に植林された杉林の中を抜け、もとの雑木林といった感じの林に戻ると、水内川の支流である加下川が右手に見えるようになる。



 川と並行して下っていく区間、岩肌を削って作られた渓流の中に、美しい滝を見ることができる。ただし、案内板などはなく、特にこれといった名前も無い滝のようだ。



 沿道に建てられていた看板によると、特色ある地形・植生などの自然を保全していくため、この辺り一帯は、県の条例に基づいて、東山渓谷緑地環境保全地域に指定されているそうで、確かに道路と電柱以外は、人の手の入った感じはあまり感じられない。



 川を渡って対岸の山へと登っていく林道が右手へと一本分かれていくが、その先も大した変化もなく川沿いに道は続いている。



 川に沿って大きく右カーブを切りながら進むと、前方に橋が見えてくる。ここから別れる道は、林道熊ヶ杉線という名前で、橋を渡って林道に入ったところには、佐伯郡地方振興財団所有の山林からの収益により、福祉・教育施設が充実したことをたたえる顕彰碑が建っている。なお、湯来から吉和の方向の林道の分かれの手前には、大きな案内標識が設置されており、どうやってこの狭い道を通ってここまで標識を運び、そして建てたのか、ちょっと気になるところである。(右の写真)




 杉林の中を抜け、加下橋という橋のたもとが廿日市市と広島市の市境となっており、ここから先は広島市佐伯区湯来町となる。加下橋の右手下には、支流との合流点に出会いの滝という名前の滝があり、案内板の指す方向へと歩いて下りると、下流側に支流、上流側に水内川本流の二つの滝が流れ落ちる姿を見ることができる。



 加下橋の先では左へと林道(林道色梨線)が分岐しており、右側は結構な広さの空地が広がっており、日当たりもよい。その先は再びやや薄暗い杉林の中に入る。



 前方が明るくなったかと思うと、右手に対岸へと渡る新しく架けられた橋が現れる。平成17年 7月竣工という銘板のついた長渕橋という名前の橋を渡った先に続く道路は、部分開通した国道488号線東山バイパスの一部である。吉和方面へはまだ工事半ばで曲がることは出来ず(右の写真)、湯来方面への左折のみ可となっている。




 左折してすぐに延長807mの雲出トンネルがあり、トンネルへと入る。トンネル坑口の銘板によると、トンネルは平成12年12月に竣工していたようだ。途中から右カーブとなっているトンネルを抜けた先すぐのところがT字の交差点となっており、バイパス区間は終わり。
 交差点の先には、大谷川を渡る雲出橋が架けられているが、その先の工事がかなりある様子で、この先が完成するまでにはまだ時間がかかりそうである。湯来方面へは、交差点を左折し、県道本多田佐伯線を下っていく。




 長渕橋を渡らず、そのまま進んだ場合は、引き続き川沿いを下っていく。途中、たもとに案内標識が建っている谷川橋という名前の短い橋の先、道路の山側に石積みが残っており、かつてはここに何かの建物が建っていたのだろうと思われる。



 山手へと急な勾配で登っていく林道との分かれを過ぎ、木立の中を抜けると、ようやく前方に小屋や民家が見えてきて、湯来町本多田の集落へとたどり着く。集落に入ってすぐのところに、県道本多田佐伯線との交差点があり、雲出トンネルを通ったときはここへ出てくる。



 渓谷の中から抜けて、道路を走りながらも人の生活というものがいくらか感じられるようになる。ところどころで災害復旧の工事が行われており、工事現場の横を通り過ぎていく。



 湯来町に入って二つ目の集落は、志井という名前の小さな集落で、ここでは県道大竹湯来線が分岐している。道路よりも一段高い斜面に民家と畑が点在しており、その下を進んでいく。




 集落を抜けた先では、切り立った断崖の横を通り抜けていく。道端に小さな祠が祭られているところには、魚切の滝(あるいは宮ヶ瀬の滝とも呼ぶらしい)と案内板が建っており、道路から滝の姿を見ることができる。(左上・左下の写真)また、そのすぐ先には大山地の滝という名前の滝もあり、この滝も道路から見ることができる。



 いくらか道路左側の斜面も緩やかになってきたところで、次の集落である栗栖根という名前の集落に出る。ここからは、道路改良が終わっており、もみの木森林公園から続いてきた未改良区間もようやく終わりとなる。




 そこから先、平成13年8月に開通したバイパスは、日入谷の集落や湯来西小学校のある左岸側を避けるため、水内川を渡って右岸側を通っている。再び水内川を渡って左岸側へ戻ると、旧道と合流してバイパス区間がいったん終わり、ちょっとひなびた感じのする湯来温泉に到着する。広島市農協の支所の先、湯来ロッジの前からは、湯来温泉一帯の集落の南側を通るバイパスが、平成21年に新しく開通している。
 なお、国道488号線は廿日市市とまで続いていることになっているが、佐伯区役所湯来出張所の前から廿日市市までは、全区間が国道433号線との重複区間となっている。


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